Likert scale

http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/yomimono/scale.html

リッカートスケールの特性

質問の用語に,特に細心の注意を払うべきのようです。

(1)ことばの意味がその対象や場面によって異なる

例えば、「よい」ということばは対象によって意味を変えている。「よいナイフ」なら切れ味の鋭いこと、「よい食べ物」なら栄養があったり、おいしい食べ物のこと。この問題はSD法ではよく知られている。SD法で使われた形容語の構造は音楽とか美術品、色、国など対象によって異なっている。

(2) ことばの意味が人によって異なる

尺度というのは、だれが使っても同じものでなければならない。しかし、人によってことばの意味や中身が違うことがある。「よい」を例にすれば、ある学生にとって「よい講義」とは単位をとりやすい講義であったり、別の学生には、説明がわかりやすい講義であったり、また、適度な緊張感をもつ講義であったり、最先端の内容を含むものであったり、休講の多い講義であったりする。

(3) 評定段階の使い方が異なる

評定段階が2段階の「賛成・反対」「はい・いいえ」「あてはまる・あてはまらない」などであると、評定カテゴリ上の問題はほとんどない。しかし「どちらともいえない」「?」などを含む3段階になると問題が生じてくる。5段階、7段階になってくると、その段階のカテゴリの意味づけが違っていたり、端をつかうタイプや真ん中をよく使うタイプなどの個人差の問題も生じる。

(4) 測定にはもともと誤差がある

林(1993)によると、学歴のような客観的なものでさえ、同じ人に2回測定したときに完全一致するのが75%でしかない。このことは、単一の項目のみの尺度を使用することの危険性をはっきり示している。なるべく多くの項目を重ね合わせて指標にする必要がある。これは人が自由に答えるというところに問題があることを示している。いずれにしても信頼性が低いということである。

(5) 測定の精度を上げる

調査の際の質問文はことばの遣い方(ワーディング)を中心に多くの注意を要する(安井・原,1982;井上ほか,1995)。例えば、「あいまいな表現の質問をしない」「短くて簡潔な質問をする」という注意がある(井上ほか,1995)。ことば遣いには信頼性や妥当性にも関した点を含んでいる。どちらかというと職人芸的部分がある。一方、調査をしてみれば統計的なチェックをすることのできる側面もある。信頼性、妥当性ということで語られる部分である。ことばで測ることはいい加減なので、このような統計的チェックは必須のものである。