英銀行業界:空前の利益続出、批判と歓迎交錯

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/keizai/20040314k0000m020048002c.html

HSBC銀行が今月発表した03年決算は、税引き前利益が前年比33%増の128億ドル(約1兆4000億円)で、英銀行として史上最高を記録。前週、ロイヤル・スコットランド銀とバークレイズ銀がそれぞれ好業績を発表した後だっただけに、「銀行のもうけ」が関心を集めた。

 役員らの高額報酬も批判の火に油を注いでいる。HSBCでは、ジョン・ボンド会長の03年の報酬が215万ポンド(約4億3000万円)。報酬額トップは、投資銀行部門責任者と見られる非役員で、会長をはるかにしのぐ1270万ポンド(約25億5000万円)だった。

 「英主力銀行は昨年計170億ポンド(3兆4000億円)ももうけた。毎秒約500ポンドの計算」。銀行保険消費者協会(NABIC)のウェブサイトは、銀行の利益に臨場感を与えるため「あなたがこれを読んでいる今も……」と秒刻みで利益推計額が増える仕掛けを採用している。

 フィナンシャル・タイムズ(FT)紙にも「高収益そのものに怒っているのではない。広告宣伝費は惜しまないくせに、利用者には不親切でミスが多く、手数料は高い。中小企業の将来など気にかけていないのが問題だ」という不満の投書が寄せられた。

 一方、英銀行協会のブライアン・ケイポン氏(広報担当)は「銀行の利益の大半は個人客部門以外から来ている。国内で100万人以上を雇用し、国の法人税収の3分の1を支えている」と貢献を強調し反論する。